アストロズの次なる革命は「カットボール」か

これまでジェフ・ルーノーGMを中心にアストロズは「フライボール革命」や「ファーストボールとカーブのコンビネーション」など最先端のトレンドを発見・開発・導入してきた。

そのアストロズが新たな投手の開発・改良として「カットボール」に注目した可能性がある。先日、同球団はブルワーズからFAとなっていたウェイド・マイリー投手を1年450万ドルで獲得した。ここ近年の補強傾向を見る限り、ジャスティン・バーランダー、ゲリット・コール、チャーリー・モートン、ライアン・プレスリーなど「ファーストボールが速く、カーブで空振りを取れる」投手を重視してきた。

しかし、獲得したマイリーは特にファーストボール(91マイル程度)が速いわけでもなく、カーブを決め球とする投手でもない。

メジャーの名物記者であるBuster Olney氏は「アストロズは投手を獲得する際、常にいくつかの改善プランを持っている」とツイートしていてまたカットボールに注目している。

 

カットボールと言えばヤンキースのクローザーとして長年君臨し、先日メジャーの殿堂入りを果たしたマリアノ・リベラ投手が代表的だ。

まず、そのリベラが投じていたカッターについて考察したい。

 

リベラの通算投球割合

球種 割合
カッター 89.04%
シンカー 10.92%

※参考 BrooksBaseball.net

 

 

リベラが投じたカッターの通算コース別割合(捕手目線)

 

上の画像からも分かる通り右投手のリベラは意図的にカッターを対角線上のボールゾーン(右打者から見れば外角のボールゾーン)周辺に投げていたことがわかる。

 

カッターのコース別打者のスイング率(捕手目線)

 

また、上の画像の通りリベラがカッターを多投していた対角線上のボールゾーンのスイング率は60%と打者はボール球に半分以上手を出していたことがわかる。

つまり、リベラは抜群のコントロールを武器にカットボールを対角線上のボールゾーンに意図的に投げ、打者がボール球に手を出すことによって打ち取っていたということだ。その結果、通算BABIP.263(一般的には.300程度と言われている)までに抑える要因となったとみられる。

これらの配球を「リベラ式」と呼ぶことにする。

 

そして、アストロズはこの「リベラ式」に基づいて新たなトレンドを生み出そうとしている可能性があるということだ。その第一歩として昨シーズンからカットボールを多用し始めたウェイド・マイリーを獲得したとみられる。

 

マイリーの過去2年の投球割合

球種 2017 2018
フォーシーム 21.88% 11.81%
シンカー 31.52% 8.11%
チェンジアップ 10.76% 16.16%
スライダー 13.68% 3.83%
カーブ 10.33% 17.55%
カッター 11.84% 42.55%

※参考 BrooksBaseball.net

 

17年の投球割合を見るとカッターは11.84%で第四球種に過ぎなく、フォーシームやシンカーを主体とする投球だった。しかし、昨年はそのカッターを42.55%まで急激に割合を増やし投球の中心的球種となっている。なぜ、カッターを増やしたのかは分からないが結果的に防御率を5.61→2.57と大幅に改善することに成功した。

 

マイリーが2018年に投じたカッターのコース別割合(捕手目線)

 

マイリーは左投手のためリベラとは反対となる。

 

カッターのコース別打者のスイング率(捕手目線)

 

マイリーは昨シーズン対角線上低めのボールゾーン(右打者から見れば内角低めのコース)にカッターを一番多投していた。しかし、そのコースは上の画像の通り打者のスイング率が11.71%のみと手を出してくれていなかった。「リベラ式」は対角線上のボールゾーンのカットボールを打者に手を出してもらうことが重要なため、マイリーは打者のスイング率が高い対角線上のボールゾーン真ん中からやや高めにカットボールを投げる必要がある。

 

今季マイリーが配球を変更すると思われるポイント

①カッターの割合を増加させ、対角線上のボールゾーンやや高めに投げる。

②シンカー(ツーシーム)の割合を減少させ、フォーシームをストライクゾーン高めに投げる。

 

アストロズはマイリーのカットボールに注目し、配球を変えることでいままで以上の結果を引き出せる可能性があると見込んで獲得したと思われる。1年450万ドルで獲得した先発投手が掘り出し物になるのか今季のアストロズに要注目だ。もし、この「リベラ式」の配球が正しければ「カットボール革命」が起きる日も近いかもしれない。

 

※画像やデータの引用・参考

BrooksBaseball.net

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